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オットー=カーンバーグ
オットー=カーンバーグ(Otto Kernberg)さんの誕生日は1928年9月10日です。
転移焦点化精神療法、自己愛理論とハインツ・コフートとの論争などについてまとめました。家族に関する情報もありますね。
オットー・カーンバーグ(英:Otto Friedmann Kernberg、1928年9月10日 - )は、オーストリアのウィーン出身のアメリカ合衆国の医学者、精神科医、精神分析家。ウェイル・コーネル医科大学教授。妻は児童分析家のポーリナ・カーンバーグ。 彼は、境界性人格構造や自己愛病理に関する精神分析理論によって非常に広く知られている。また、彼の仕事は戦後の自我心理学(これは主に米英で発達した)とクライン派の対象関係論(これは主に大陸欧州と北アフリカで発達した)統合の中心であり続けた。彼の統合的な文章は、おそらく現代の精神分析医達の間で最も広く受け入れられている理論である、現代対象関係論の発展の中心だった。 彼の主な貢献は、自己愛と対象関係論及び人格障害の領域に存している。彼は構造的構成と重篤性の度合いに沿って人格障害を調整するための新しく有用な枠組みを開発した。彼は1972年にニューヨーク精神分析学会のハインツ・ハートマン賞を、1975年のエドワード・A・ストリーカー賞をペンシルベニア病院研究所から、1981年に精神分析医学協会のジョージ・E・ダニエルズ・メリット賞を、授与された。 他の主要なカーンバーグの貢献は彼の発達モデルである。このモデルの中で彼は人が達成しなければならない3つの発達上の課題を記述している。ある発達上の課題を達成することに失敗した場合、これはある精神病理を発展させる高危険に対応する。最初の発達課題に失敗することによって、それは自己と他者の精神的な明確化のことなのだが、多様な精神病を発展させる高危険が生じる。2番目の課題(スプリッティングの克服)が達成されないと、境界性人格障害を発展させる高危険が生じる。 ウィーン生まれ。ユダヤ系。1939年、カーンバーグ(ドイツ語読みではケルンベルク)は家族とともにナチスドイツから逃れて、チリに移住した。生物学と医学を学び、後に精神医学と精神分析学をチリの精神分析学会に学んだ。 彼はロックフェラー財団の研究奨励制度によって、ジョン・ホプキンス病院でジェローム・フランクに精神療法の研究で師事するため、1959年に初めてアメリカ合衆国に来た。1961年に彼はC.F.メニンガー記念病院に参加し(後に所長になった)アメリカ合衆国に移住した。精神分析者のためのトピカ研究所の精神分析者達を指導・教育していて、メニンガー基金による精神療法研究プロジェクトの責任者だった。1973年に彼は、ニューヨーク州精神医学研究所の一般臨床サービスの責任者となるため、ニューヨークに移転した。1974年にコロンビア大学の内・外科医のカレッジで精神科の教授に任命され、精神分析の教育及び研究のためのコロンビア大学センターで精神分析医を教育・指導していた。1976年にコーネル大学の精神科教授と、ニューヨーク・コーネル病院医療センターの人格障害研究所所長に任命された。彼は1997年から2001年まで国際精神分析学会の会長だった。 転移焦点化精神療法オットー・カーンバーグは、転移焦点化精神療法(Transference-focused psychotherapy ; TFP)として知られる、精神分析的精神療法の集中的な形式をデザインしたが、これは境界性人格構造の患者により向いているとされる。境界性人格構造の患者は情動と思考においていわゆる「スプリット」を経験すると言われ、治療の意図された狙いには自己と対象の表象に分裂した部分を統合することに焦点が当てられている。 TFPは、一週間に最大3回45分~50分のセッションを必要とする、境界性人格構造(BPO)の患者に向けて特にデザインされた、精神分析的精神療法の強力な形式だ。それは、その個人が情動の込められた自己と特定の他者の和解に至っていない矛盾する内的表象を抱えているものと見なす。これらの矛盾した内的対象関係に対する防衛は同一性拡散と呼ばれ、他者や自己との関係を阻害する原因となる。自己や他者や関連する情動に対する歪んだ知覚は、セラピストとの関係の中に出現する(転移)時治療の焦点となる。これらの歪んだ知覚に対する無矛盾な解釈は変異のメカニズムと考察されている。 カーンバーグはTFPを特に境界性人格構造の患者のためにデザインした。彼によれば、これらの患者は自我拡散や原始的防衛操作及び不安定な現実検討能力に苦しんでいる。 自我拡散は病的な対象関係の結果なのであり、矛盾的な性格特性や、自己と非常に理想化されるか価値を引き下げられるかした対象との関係の不連続を含んでいる。しばしばBPO患者により使用される防衛機制は、スプリッティング、否認、投影性同一視、原初的な理想化と脱価値化、全能感、である。現実検討能力は、人の自己と対象の知覚を変容させる原初的防衛機制から否定的な影響を受けている。 TFPの主たる終着点は、より良い行動制御、強化された情動規制、より親密で満足の行く人間関係、人生の目標を追求する能力である。これは、統合された自他表象の発展、原初的防衛操作の修正及び患者の内的表象世界の断片化を永続させる自我拡散の解決、を通して達成されると信じられている。これをするために、患者によって情動の込められた従前の人間関係の内的表象は、セラピストがセラピー上の関係において気付くものとして、即ちこれは転移のことであるが、一貫して解釈される。明確化や対立や解釈のテクニックは発展する患者とセラピストの間の転移関係の内に使われる。 他の多くのBPOへの治療法とは異なる、TFPの際だった特徴は、BPOの症状の根拠をなす特有の心的構造の着想にある。BPO患者は心の基礎的な分裂に苦しんでいる。自己と他者の相貌は防衛的に『すべて善』か『すべて悪』の表象に分割される。この内的分裂は、患者の、他者や一般的な周囲の状況を経験する方法を決定する。治療の目標は分割された自己と対象の表象を統合することにある。 この分裂は文字通り、自己と対象の表象の善なる部分を支配し制御し破壊する可能性のある、攻撃的衝動に対する防衛である。自己と対象の表象における善なる部分は分割することによって守ることを試みられる。 BPOは情動的なものが込められた人間関係の体験(それは時を経てその人の心に累積的に内面化され彼または彼女の精神構造に『対象関係対』として構築される)に起因するだろう。 精神発達の過程では、これらの分離された二者はより成熟した柔軟な自他の感覚を伴い統合された全体へとまとめられる。 治療は治療契約の作成により始まるが、それはすべての患者に適用される一般的なガイドラインと、治療過程を妨害するかもしれない個別の患者の問題領域より作成された特別項目から成っている。契約にはセラピストの責任も含まれている。患者とセラピストは治療が進展する以前に治療契約の内容について合意をしなければならない。 TFPは以下の3つのステップから成っている。 (a)転移における個別の内的対象関係の診断的記述 (b)転移における自己と対象の表象の合致、転移・逆転移における彼らの振るまい、に関する診断的詳細 (c)自己と他者が統合された感覚(自我拡散を解決する)をもたらす、分裂した自己表象の統合 治療の最初の年においては、TFPは以下の問題階層に焦点を合わせる。 自殺的、自己破壊的行動の封じ込め 治療を破壊する多様な方法 優勢な対象関係パターン(未統合または未分化である自他の情動・表象からより首尾一貫した全体へ)の同定及び要約 精神療法上の関係においては、転移によって自己と対象の表象が活性化される。治療の途上において、投影や同一化が働き、すなわち、価値の引き下げられた自己表象がセラピストに投影され、また一方で患者は危機的な対象表象を同一視する。これらのプロセスは普通怒りや恐怖といった情動体験とつながっている。転移によって活性化されるだろう自己-対象による表象の例を以下に述べた。 自己 - 対象 コントロールされ怒る子供 - コントロールする親 望まれぬ放任された子 - 自己陶酔的な親 障害のある子供 - 軽蔑する親 嫌がらせの犠牲者 - サディスティックな攻撃者 剥奪された子供 - 自己中心的な親 性的に興奮する子 - 去勢する親 扶養され満足する子 - 溺愛し賞賛する親 転移から浮かび上がってくる情報は、2つの理由により、その人の内的世界への直接的な接近手段を供給する。第一の理由は、共有する現実に対する矛盾した知覚をすぐに議論の俎上に載せることが出来ることから、それがセラピストと患者双方により同時に観察されうること。第2の理由は、共有している現実に対する知覚は情動を伴うのに対して、歴史的題材に関する議論は知的質を持ち得てはしも、だからこそあまり参考にならないこと。 TFPは精神療法セッションにおける解釈の役割を強調する。自他の表象の分裂が治療を通し演じきられるので、セラピストは、断片化した自他の感覚による継続的分裂を下支えしている原因(恐怖や不安)を患者が理解するのを手助けする。この理解には治療上の関係内での強い情動経験を伴う。この理解と情動経験の結合は、分裂した表象の統合や、患者のアイデンティティーと他者の経験が統合された感覚の創出を導く。それ故、精神構造の統合はBPO症状の低減をもたらしうる。 TFPにおいて仮定された変異のメカニズムは、カーンバーグの発達に基礎を置く境界性人格構造の理論に由来しているが、自他における未統合で未分化な情動と表象に関して概念化されたものだ。自と他の表象の一部は対をなしていて、対象関係対と呼ばれる心的単位内の情動に結びついている。これらの対は精神構造の要素である。境界性病理では、内的な対象関係対の欠落は、否定的表象が自と他(全面的な善か悪として見られる人々)の理想化された肯定的表象からすっかり分離され隔離されているような、『分裂』した精神構造に該当する。推定されているTFP治療患者の全体的な変異のメカニズムとは、これらの分極した情動の諸状態や自他表象をより首尾一貫した全体へと統合することなのだ。 自己愛理論とハインツ・コフートとの論争オットー・カーンバーグは自己愛には3つのタイプがあると述べている。つまり、健全な大人の自己愛、健全な子供の自己愛、病的な自己愛、である。病的な自己愛は、自己の病的構造におけるリビドー備給として定義され、自己愛性人格障害が全体の中で最も重度なのだが、更に3つのタイプ(幼児的自己評価規範への退行、対象の自己愛的選択、自己愛性人格障害)に分けられる。未だに、自己愛はオットー・カーンバーグとハインツ・コフートの間の不調和の大きな源であり続けている。両者とも、自己愛的、境界的、精神病的な患者に焦点を当てているのだが、その焦点と彼らの理論と治療の内容は相当に違ってきた。彼らの主要な相違点は、自己愛性と境界性の人格、正常と異常の自己愛、自己愛的理想化と誇大自己に関する着想、同じく精神分析手法と自己愛転移、の間の関係についての概念化に対する反応の上に現れる。 2024/05/22 02:58更新
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Otto Kernberg
オットー=カーンバーグと同じ誕生日9月10日生まれの人
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